4)細工方法
(1)概観
①古代ギリシャやローマにおいて革は実用品用の材料であったが、エジプトでは古くから靴や財布、帯、本の装丁、装飾品などの工芸品を制作。
※現存最古の革製品はエジプトのサンダル(BC2600年頃)
→オリエントの革加工技術が欧州諸国へ影響を及ぼすことになる。

②3~8世紀コプト人の装飾方法
ⅰ.「引っ掻き技法」・・・先の尖った道具でヤギ革の表面を引っ掻いて表面を剥ぎ、装飾の線をくっきりと赤ワイン色の地に浮かび上がらせる。表皮の裂け目模様が特徴で、明暗の対照が効果的。6~8世紀には本の表紙装飾にも見られるようになる。   ⅱ.「切り抜きと裏打ち」・・・中心の装飾が切り抜かれ、金箔を革に裏打ち出し、編まれた革の帯で装飾されている。革の編み模様はかなりの頻度で取り入れ、特に縁飾りとして用いられた。
※4世紀、金はスタンプと接着剤(卵白)で革上に押されて、決まった模様や文字が使われた。
→後世の一般的な金箔押し方法(熱と強い圧力によるもの)はまだ。
※概ね平面的なものが多いが、「切り込み」「打ち出し」もコプト人の一部で行われ、三次元的要素のレリーフも登場。
→中世の西洋革工芸が、オリエントの影響を受けながらも徐々に独自の技術に到達したことを示す。

③11世紀頃のアイルランド人
※革に刻印、切り込み、裂け目入れ、浮き彫り(動物模様)を行う。
→西洋の切り込み技法成立の段階として意義深く、特にスタンプの使用(渦巻型装飾と動物形)は重要で、13世紀に最盛期を迎える。

④13世紀末・・・小箱やサック。欧州における最古の装飾技法であるスタンプの空押し技法を用いる。

⑤15世紀後半・・・イベリア半島を中心に発展した「切り込み革細工」。ルネッサンス末期に最盛期を迎える。
※椅子やトランク、水筒、マントケースといった日用品に文様と彩色が施された。
※メキシコ(スペインの旧植民地)では今日でも特産品として残存。
※北アメリカ西部ではレザーカービングとして馬具やガンベルトなどに展開。(戦後、日本に伝わり、主婦層を中心にレザークラフトとして隆盛)

⑥16世紀半ば・・木型や金型を用いた革のレリーフを作るようになった。
※植物タンニン鞣し革の特性を活かし、高低のあるレリーフで、完成度の高い作品がイタリア中心に作られた。

⑦17世紀・・・オランダの工房で大きな金属板による壁面装飾革(金唐革/ギルトレザー)の製造が始まる。
※同じ文様の作品を量産することが可能になる。17~18世紀には広い地域でギルトレザーの使用。

⑧19世紀・・・「型つけ(モデリング)」が登場。
※革に文様を写し、湿らせてから鉄製の道具によって浮き彫りされる。文様は裏面から柔らかく押し広げられ、打印が加えられる。19世紀のモデリングは中世よりも切り口が柔らかく、流れるような線になる。

「細工方法」つづく

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