和本、漢籍などを解体修理していると丁の内側(袋の中)などに銀杏の葉っぱが挿んであるのを見つけることがあります。遊び心としてなのか、呪術的な何かのためなのか・・・前々から気にはなっていたのですが、ようやく調べてみました。もちろん、ネットで。
グーグル先生に教えを乞うと、1秒もかからずサクッと出てくるんですね。京都府立総合資料館から発行されている『総合資料館だより 2011.4.11 №167』に同館の西村隆さんの「資料館で植物採集」と題した文章中にありました。

以下、要約します。

①元禄時代に出版された『本朝食鑑』の「銀杏」の項に、芸草(「うんそう」と読む)という香気のある草に似せて虫よけとして本に挿むが、その理由は分からない。
※芸草(ヘンルーダ。生や乾燥した小枝は本や衣服の駆虫やハエ・ノミ除けなどに使われる)
②出久根達郎著『本のお口よごしですが』(講談社 1991.7)中に、明治後期にも銀杏の葉を本に挿む風習があり、防虫効果は葉に含まれる成分ではなく、黄葉した色にあるのではないかとの推測が書かれている。
③近代科学的見地からは、銀杏の葉には防虫効果を有する成分(シキミ酸、α-hexenalなど)があり、それが本の紙魚よけに役立っていると言えるかもしれない。

また、同じく京都にある公益財団法人禅文化研究所のブログ記事中にも蔵書和書の防虫対策として、秋には職員で銀杏の葉を拾って本に挿もうと計画?していること、銀杏の葉は真っ黄色になったものでないとダメだとも書かれていました。

効果はあるのだろうな~というのは分かりましたが、どのくらいの頻度(間隔)で丁に挿み込めば効果があるのか?その効果はどこまで持続するのか?ということはイマイチよく分かりません。一昔前に使用されていたナフタリンペーパーほど挿まなくてもよさそうですし、葉っぱが完全に枯れて茶色になったら効果はなさそうな気もします。いざ、そうなったときにきちっと交換できるのかどうか?結局のところ、定期的に気にかけて資料を見てあげないといけないということだけは確かです。
※ナフタリンペーパーを挿んだのは良いが、ほったらかしにされて知らない間にナフタリンペーパーが茶変色し、本文紙にその茶変色が移行していることがあるのでご注意を!

最後に西村隆さんの締めの文章から、「デジタル化されるときには、銀杏の葉はごみとして取り除かれるでしょう。しかし、古人がイチョウの葉に託した書物への思いは、現物をみてこそ感じられる、現物が持っているおもしろさはやはり現物に触れて味わえるものではないでしょうか。」

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