ちょっと(だいぶ?)古い文章なのですが、『一橋大学社会科学古典資料センター Study Series, 9』(1985年)に川原和子氏の「欧米貴重書図書館の慣行:保存修復を中心として」が掲載されています。

その中に欧米の貴重図書館内でどのような修復作業が行われていたのかについて書かれた部分があり、「ロンドン大学 Preservation of Archivic Material」で当時行われていたヴェラムに対する修復方法の記述があります。

以下、引用。

「ヴェラムのブリトルにあわせて補修用のヴェラムをカットする(これは紙のようなわけにはいかないので、鋭利な皮そぎ用ナイフを使う)。端をグルリと斜めにそぎ落とす。ヴェラムだけを接着すると、かたくて反りかえるし、紙を中継ぎに使うと弱くてその部分から裂けてしまい、従来難作業であった。Louis先生の工夫というのは、ヴェラムと同質の材料であるソーセージのスキンを使う。スコットランドに1ヶ所だけこのスキンを作っているところがあるそうである。ソーセージ・スキンは薄くて輪になっている。これを縦に切り開いて、ダブルにはりあわせ、これを中継ぎとしてヴェラムの本体に米粉糊で接着する、その上に補修用ヴェラムの斜めにそぎ落としたところに米粉糊をつけて接着し、上からtissueをあててアイロンで抑える。“相性”がよかったのかたしかに、ピッタリと接合できた。」
※Louis先生:James Louis。この方法を考案したロンドン大学Imperial Collegeの機械工学の先生。

修復箇所に補紙としてのヴェラムを直接貼り込まずに間に一枚かませて修復するという方法だと思いますが、色々とよく分かりません。
・腸の皮線維の方が和紙よりも異質感はなさそうですが、保存性は?(どう処理された皮なのか?)
・ヴェラムは美観上のためということになる?
・「ダブルにはりあわせ」は二重にして使う?表裏両面から当てる?

このソーセージの皮を使用した修復方法がどれだけ広まったのかはよく分かりませんが、現地で調達できる材料を使用するという意味では国会図書館でも革装本の支持体として三味線の皮を使用している(た?)ようなので、興味深い事例の一つではあります。

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