書籍(洋装、和装、図書資料、雑誌)、紙資料(文書、地図、図面、ポスター)、紙作品(版画、デッサン)などの保存修復処置および予防的保存処置

羊皮紙に描かれた地図への保存修復処置

【所蔵】明治大学図書館 中村拓文庫

【資料の概要】
本資料はポルトラーノ(型)海図と呼ばれるもので、14~16世紀にかけて地中海地方で多く制作されました。当初は、対象地域が地中海だけでしたが、次第に大西洋、新大陸、インド洋、東南アジアへと広がっていきました。東京国立博物館等で所蔵されている「日本航海図」や「アジア航海図」等は、16~17世紀の日本人がアジア諸地域に渡航するために、本資料のようなヨーロッパ製ポルトラーノ型海図を参考にして独自に作成していたものとなります。

[制作年] 17世紀中頃か?(地図中「Madras」は1640年に英国によって付けられた都市名)
[寸法] 左辺:560mm 右辺:550mm 上辺:765mm 下辺:835mm

【支持体】
[種類] パーチメント
[厚み] 0.31~0.38mm
[切断面] 刃物による切断部分と、パーチメント製作時のままの部分がある

【画面】
[媒材] 炭酸カルシウム(胡粉)による白色下地、赤・緑・黄・黒インク
[技法] 手描き

【資料の状態】
[折れ/シワ] 周縁部には、折れたまま保管されていたことによる強い折れが見られる。
[支持体の変形] 丸められて保管されていたことによる変形と合わせて、湿気による波打ちも見られる。
[擦れ] 下地の擦れが主に左辺に生じている。
[褪色] ほとんど見られない。
[汚損/染み] 左右辺には湿気による下地の移行、輪染みが見られる。所々に汚れが付着している。
[虫害] 右辺上部に虫損、上辺にネズミ?と思われる欠損(食害)が見られる。

【処置方針】
本紙のフラットニングは、本紙を防水透湿性素材に挟んで間接的に時間をかけて湿りを入れ、フェルトに挟んでプレスすることにより行う。フェルトに挟むことで本紙が平滑になりすぎないようにする。フラットニングについては、本紙周縁部を均等に引っ張る方法もあるが、本紙自体がきれいに断裁されていない(長方形でない)ため均等に引っ張ることが難しいこと、地図に歪みが生じる可能性があるため、本資料においてはこの方法は採用しない。本紙のフラットニング作業後は、本紙を窓マットに固定し、調湿紙を敷いた保存容器に収納する。

【主な処置内容】
①表面上の汚れをゴム製スポンジで除去。
②湿りを入れたフラットニング作業前に、丸まった状態の本紙を伸ばした。
※室温(20℃、55%前後)下で1週間程度本紙を開いた状態のままにした。
③湿度85%前後にした密閉空間内に本紙を置き、時間をかけてゆっくりと本紙に間接的に湿りを入れた。ある程度伸びた段階でフェルトに挟んでプレスした。
※1回では本紙の伸びが不十分であったため、再度間接的に湿りを入れてプレスをした。
⑤フェルトに挟んだ状態で2週間程度プレス。
⑥O型ヒンジを用いて台紙(ピュアマット)に固定した。
⑦窓マットの取り付け。
※本紙には自然な凹凸があるため、窓部分を二重にして厚みを持たせた。
⑧調湿紙を敷いたシェル型ボックスに収納した。

【処置後の状態】 

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