書籍(洋装、和装、図書資料、雑誌)、紙資料(文書、地図、図面、ポスター)、紙作品(版画、デッサン)などの保存修復処置および予防的保存処置

保存容器について

保存容器(保存箱)に書籍や紙資料を収納し、最小単位の理想的収蔵環境をつくることで、保存管理を行いやすくすることができます。

(1)保存容器の利点
①外気の温湿度変化を和らげる
②光の影響から資料を守る
③ホコリ・虫などの生物の侵入を防ぐ
④損傷があっても持ち運びに際して直接触れずに済む
また、私どもが製作する保存容器は弱アルカリ性ボードを使用しているので、pH4~6の微酸性域で増殖するといわれているカビにもある程度の効果があるとされています。

(2)保存容器の欠点
①中身が見えない
②一度収納してしまったら果たして開けることがあるのか?(定期的なチェックを行わなくなる)
③保存容器中で何らかの異常が発生していても気がつかない

(3)「Phased Conservation」という考え方の中での保存容器
Phased Conservationとは、資料全体(○○文庫といった貴重書コレクションなど)の保存を念頭に置いて生まれた考え方で、保存容器収納や小さな破損修理などの簡易修理から解体修理を含む本格的な修理へと文字通り段階的に行っていくという考え方になります。1972年にアメリカの議会図書館で実践されてから日本へも導入されましたが、日本では「現実には、修復対象をまず優先したいが、費用面から緊急的に保存容器を採用するという考え方が根底にあり、行為は同じであっても発想に違いがみられる。」(『紙と本の保存科学』青木睦)という本来の考え方とはかけ離れた現状となっています。さらに、「後にも先にも保存箱に入れてさえおけば良い」という意見や、「保存箱に入れるだけで、そのことが利用者への注意喚起になる」というような意見もあるようです。

このような現状の日本では、「15~20年の短期間の保存には十分な役割りを果たす」(IFLA原則)とされている保存容器に入れておきさえすれば「以後数十年の保存が約束され」、また「すべてが解決するように思われている」部分が少なからずあり、さらに「定期的なチェックが行われなくなる(行わなくても良いと思ってしまう)」といった危険性があります。その危険性を述べているものに、文科省が平成20年に作成した「カビ対策マニュアル」があります。そこにでは「収納箱の利用は、資料を汚染物質やホコリから守るとともに、資料に直接触る回数を減らす効果があり、推奨できる。ただし、箱に入れてしまうと人の目がとどきにくくなるので、カビ発生などの異常が起きても発見されにくいため、定期的な点検を心がけたい。」とあります。

同様に、『コデックス通信第13号(1989)』「保存箱を棺桶にしないために」(木部徹)においても、「保存容器に収納する前に事前状態調査の実施とそれに基づいた処置優先順位付けを行わないと、「保存箱」は「棺桶」に、やがて書庫は「本の墓場」になるだろう」とその安易な保存容器(保存箱)の導入によるある種の危険性を指摘しています。

保存容器への収納前には、状態調査と必要最低限の処置(ドライクリーニングや簡単な修理など)を行い、収納後にも定期的な点検を行っていくこと、つまり資料に対する目配り・気配りを絶やさない(=薬剤、容器や設備に頼り過ぎない)ことこそが、結果的にトラブルの早期発見へとつながることになります。このことが被害を最小限に留め、より良い状態で書籍(図書資料)・紙資料を保存していくための最良・最善の手段であるといえます。

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