1.書籍の保存修復処置
 図書館、博物館、美術館、文書館資料ならびに企業アーカイブズ等として所蔵される洋装本、和装本、雑誌、漫画、絵本、アルバム等、あらゆる形態の書籍に対する保存修復処置を行います。書籍にはテキスト(内容情報)のみならず、書籍を構成する素材、装飾、構造等にも極めて重要な情報が含まれています。これらに対して適切な手当てを行うためには、書籍特有の損傷/劣化を十分に把握し、さらに製本構造の深い理解とともに、オリジナル資料の持つ時代性、素材、装飾、構造等、テキストや画像以外の側面をも尊重して保存修復処置を行う必要があります。また、各所蔵機関の管理・運営上において重要な「保存と利用」を考慮した製本構造もご相談の上で適宜取り入れております。 その他、カビが発生した書籍への緊急的な対処方法のご提案から殺菌処理、図書資料に貼られた図書ラベルの除去作業等も行います。

2.紙資料の保存修復処置
 文書、原稿、地図、ポスター、図面、新聞等の様々な紙資料の保存修復処置を行います。資料の損傷/劣化状態、保存形態に応じて全体あるいは部分的な修復、脱酸性化処置からエンキャプシュレーション等、様々な技法・材料からの選択により、保存性・利用性・視認性・美観性等を向上/回復させることを目指しています。

3.紙作品の保存修復処置
 リトグラフ、シルクスクリーン、エッチング、エングレーヴィングならびに浮世絵版画等の版画作品、水彩画、デッサン作品の保存修復処置を行います。また、作品のマット取り替え作業も作品に対して無害な材料を使用して行います。

4.地域歴史遺産の保全
 地域/郷土資料とは、特定地域のあらゆる事象について書かれた資料のことを指します。具体的には、地誌に関連する資料やゆかりのある人物、地域に伝来する事柄を指し、これらの資料は地域の歴史を知り、地域の将来を考える上でとても貴重な資料になります。その形態は、書籍、文書、新聞、雑誌、地図、チラシ、ポスター等と非常に多岐にわたります。私どもはこれらの地域に存在する唯一無二の宝である資料の保全に関してサポートいたします。

5.書籍の代替化時における解体および再製本
 書籍のデジタル化/マイクロフィルム化時における書籍の解体と再製本(復元)を行います。書籍の解体と再製本作業は、製本構造に不案内な者による作業によって伝世した姿を永遠に失ってしまう可能性があり、こういった事態を未然に防ぐためには製本に熟知した私どものような専門家による作業は必要不可欠と考えます。

6.革製文化財の保存修復処置
 革製品ならびに一部に革が用いられている文化財に対する保存修復処置を行います。

7.様々な保存用器材の製作
 貴重な書籍や紙資料、紙作品を有害な汚染環境や虫害の他、物理的な破損や散逸から護るための各種保存容器を所蔵機関の収蔵環境に応じて製作いたします。アーカイバル仕様のボードを使用し、汎用性の高い保存容器(差込式タトウ型、フォルダ型等)、西洋古典籍用容器(クラムシェル・ボックス、丸背夫婦箱等)、ブックシュー、簡易書見台等、資料に最適な保存用器材をご提案いたします。

8.資料の貸与時等の点検作業
 書籍の場合には、革をはじめとした使用素材の損傷/劣化状態の見極めと製本構造を熟知していなければ、その安全性を正確に評価することができません。対象資料の点検作業を行い、適宜応急処置を行う他に展示方法等のご提案をさせていただきます。

9.資料の状態調査から保存計画の立案
 資料の状態調査(悉皆調査、サンプル調査)を行い、それに基づく保存計画の立案や予防的保存対策などのご提案を行います。

10.製本調査の実施
 西洋古典籍の製本構造(表紙と中身の接続状況、綴じ、見返し、折丁構成等)、使用素材、その他に関する調査を行います。

11.製本、保存修復技術に関するワークショップ等の企画、開催
 参加希望者のご要望に応じて内容を協議の上で決定し、ご満足いただけるワークショップを行います。