紙は中国で発明されました。その起源は、2100年以上前にさかのぼると考えられています。現在、発見された中で最も古い紙は、1986年に中国の甘粛省天水市北道区放馬灘の前漢の古墓の副葬品から見つかった紙片で、放馬灘紙といわれています。紀元前179~142年頃のものと推定されています。その紙片には地図のような描線があり、すでに書写材料として紙を使っていたことを示しています。他にも1960年代~80年代頃、少しずつ前漢の遺跡などから紙が出土しています。
いずれの紙も原料は麻で、繊維分析の結果から、ほとんどが大麻でわずかに苧麻が混じっていることがわかっています。当時の大麻や苧麻から作られた布や縄を紙の原料としていたようです。ただ、当時はまだ技術が未熟で、紙の表面はごわごわとしていて平滑ではなく、書写材料としてよりも包装材料として使用されていました。
このように前漢の時代にはすでに紙が使用されていましたが、後漢の時代に入り、製紙技術を改良し紙を書写材料として完成させたのが、蔡倫(さいりん)です。それまでの麻(大麻の穂先・麻布・魚網)のほかに、樹膚(木本性靭皮植物の樹皮、おそらくカジノキと考えられています)も製紙原料に加えて紙を作ったと、『後漢書』蔡倫伝にあります。
その後、製紙技術は広まり、晋の時代には重い木簡・竹簡は使われなくなり、軽くて薄い紙が普通の書写材料となりました。唐の時代までには、加工技術が発展し、様々な紙が作られるようになりました。また、製紙原料は、カジ・楮・桑・藤・青檀などの樹皮が中心となり、さらに稲藁・麦藁、竹なども使われました。
竹紙は当初は裂けやすく、質の悪いものでしたが、徐々に改善されました。宋時代に印刷が大々的に行われるようになると紙が大量に必要となり、印刷適性が良く、供給力のある竹が製紙原料として多く使われるようになり、竹が中国の紙の主原料となっていきました。
蔡倫の時代の製紙方法(潘吉星著『中国造紙技術史』より)
1.原料のボロなどを流水で洗う。
2.洗ったボロを灰汁(草木を焼いて灰を取り、水に加えて濾し分けたもの)で煮る。
3.石臼でよく叩いて繊維を水の中に分散させる。
4.漉き枠で漉く。
5.枠ごと乾燥させる。
6.枠から紙を剥がして出来上がり。


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