(1)日本へ
『日本書紀』の記述より、610年に高句麗からの僧曇徴が初めて日本で製紙を始めたということが通説となっていますが、実際にはもっと前にすでに伝わっていたと考えられています。製紙技術の伝播は仏教と深い関わりがあります。まず、372年に高句麗に仏教が伝わり、写経料紙の製造のために製紙技術も伝わります。その後、4世紀のはじめから350年にわたって朝鮮から日本へ多数の帰化人が流入したとき、その中の製紙技術を持った人が日本で製紙を始めたと考えられます。そして、行政文書(戸籍や記録など)・写経用紙のために大量に紙が必要となり、610年までにはすでに相当の紙が作られていたようです。
紙の原料は初めの頃は麻でしたが、次第に靭皮繊維(楮・雁皮・三椏)も使われるようになりました。
その後、製紙技術や加工技術は発展しましたが、室町時代までは紙はまだ高価で庶民には手の届かないものでした。江戸時代に入ると、紙漉きは農家の副業となり紙の生産量が増え、紙の値も下がり、庶民も生活の中の様々な場面で使用するようになります。
日本の紙の製法(楮) (国東治兵衛著『紙漉重宝記』(1798年)より)
1.刈り取った楮を蒸して、外皮を剥ぐ。
2.干して乾燥させる。(保存のため)
3.乾燥した皮を水に漬けて柔らかくして、薄皮(黒皮)を取り除く。
4.流水や水に漬けて、不純物を洗い流す。
5.灰汁で煮て(煮熟)、再度流水で灰汁や不純物を洗い流す。
6.塵を取り除く。(『紙漉重宝記』での記載はない)
7.楮を叩いて、繊維を細かくほぐす(叩解)。
8.紙料とトロロアオイなどの粘剤(ネリ)を漉き舟に入れて撹拌し、線維を分散させる。
9.紙を漉く。
10.漉いた紙を重ねて置いていき、圧搾して水分を減少させる。
11.板に貼って、天日乾燥する。


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