修復事例(予告)~ケルムスコット・プレスへの手当て~

 同志社大学今出川図書館様ご所蔵のケルムスコット・プレス(徳富文庫)への手当てをさせていただきましたので、近々その内容をお伝えする予定です。
 処置前の状態は次の通りでした。
①環境の変化を受けやすいリンプ・ヴェラム装の表紙は、波打ち・収縮して変形している。ジョイント部で破損が見られるものもある。
②表装材は全体的に汚れていて、特に波打っているヴェラムの凸状の部分は汚れが目立つ。
③留め紐は絹製で耐久性が低く、一部の紐は経年や使用により破損または脆弱化している。
④見返しや本文紙には付着物が見られるものがある。
⑤ジョイント部の経年・環境の影響による硬化や製本時の背に施された処置(背固め・背貼り)により、本の開閉が阻害され、特にヴェラムが厚い箇所ではその傾向が強い。