(4)小口の処理
裁断道具にはドローナイフかプラウを使用した。小口に現れる痕跡でどちらを使用したのかを判別できるが、装飾のために磨かれた場合には分からない。15世紀にはドローナイフの使用が圧倒的に多いが、1520~40年頃にプラウが取って代わりだした。裁断時には、その目安として目打ちなどで穴を開けた。また、当時既に背に丸みが付けられていたので、前小口の裁断時に背を平らにして裁断すると、前小口が凹んだ。
多くは無装飾だが、単色で色付けされたり、ペイントされたり、金箔押しされたものもある。色は黄色(石黄)が最も多く、時々赤色(辰砂)、青色(インディゴ)が使われ、サイズか卵白で仕上げを行った。Szirmaiが見つけた金箔押しの最初の例は1462年の写本であった。
小口にタイトルを書くことがあり、それにはインクだけでなく金箔に刻印されることもあった。
(5)花布
中世の花布は、天地の保護や支持体の表紙との接続補強など重要な役割りを果たした。
花布は、以下のように分類できる。
①Integral endband : この方法はロマネスクに始まり、ゴシックで多く行われるようになった。2タイプがあり、天地が斜めにカットされてそこに収まるように編まれたものと、天地より10~25mm内側にあるものがある。基本的にこのタイプの花布は装飾を行わない。
②Primary wound endband : カロリング製本に多く見られるが、後の時代の修復という説もある。ゴシックでは、シングル芯で最初は折丁ごとに編まれていたが、時代が下ると飛ばして編むようになった。芯素材には革紐と植物繊維コードがある。編み糸は、基本的に綴じ糸と同じものであるが、それよりも細い場合もある。
③Saddle-stitch endband : ①や②の応用。花布の位置で背革を折り返して、支持体の下を縫うようにサドルステッチする。これにより、花布と背革の強い結びつきがもたらされる。
④Primary wound endband with secondary embroidery : ロマネスク製本やAlla Greca製本でも行われた。リネンや絹の色糸数種類を用いてクロスステッチなどで編まれた。この他、ルネサンスタイプ(絹の色糸でまっすぐに編む)、タビー織タイプ(イスラム、ビザンチンの織物風)がある。15世紀後半には、時短のために幅5~8mmのリボンを基本の花布の上に巻いて、数回折丁に留める方法も行われた。
⑤Primary wound endband with secondary braiding : 欧州大陸(英国以外)で中世後半によく行われた。背革も一緒に編み、折丁に留めるものもある。革紐にはピンクか白い羊、山羊革、その他トーイング豚革かタンニン鞣し仔牛革が使われ、2種類の色が使われることもあった。天地で異なる素材(天がテキスタイル、地が革)が使われることもあった。
⑥Primary embroidered endband : 時短のため折丁に留める回数を減らし、直接絹の色糸数本で装飾的な花布を編むようになった。芯材には革紐かパーチメントなどで、背貼りと一緒に編むかそうでないかで編まれた。また、芯材がボードとの接続補強の意味を持つものから単なる花布芯となった。
⑦short-cut endband : 時短の最終型。花布用の背貼り(パーチメント)の端に色糸で編んだものを貼付するため、中身との繋がりはまったくない。
(6)表紙ボードとその接続
紙ボード(ペーストボード)や革も表紙ボードとして使用されたが、ゴシックでは木が一般的。
木材の種類は、オークやブナがほとんどで、その他にマツやクルミなども使用された。イギリスやオランダではオーク、ドイツやスイス近辺ではブナが覆い。年輪の凹面が外側になるように表紙ボードを使用する。
チリをとるようになる。15世紀後半には一般的となり、16世紀にはチリなしのものがなくなった。
表紙ボードの端の処理方法(面取り)は様々。一般的に支持体が表紙ボードの上から入るので、背側の外側は斜めに面取りされる。反対に内側は「山」が収まるように少しだけ面取りされる。
(続く)


この記事を読んだ方は次の記事も読まれています

[`evernote` not found]