19世紀半ばに英国で刊行された書籍の背に厚塗りされた背固め(膠)が完全に硬化してしまっています。背固め(膠)が硬化してしまうと、利用(開閉)の度に開閉時の負荷が背全体に均等に分散されることがなくなり、ジョイント部分や背の一部分のみに負荷が集中することとなります。その結果、ジョイント部では支持体・表装材・見返しの切断が起こるほか、ノド割れ(折丁間が広がってしまう損傷)に始まり支持体・綴じ糸の切断へと繋がっていく損傷が起こってしまいます。
これらの損傷が起こってしまった場合の対処方法としては、私どものウェブサイト「保存修復事例」中の洋装本の軽微な保存修復処置大型クロス装本の保存修復処置をご参照ください。
私どもではこのガチガチになった背固めを除去するのに、本文紙に損傷を与えるような方法(金属製の道具で無理矢理ガリガリ削る、まるで建設工事の「斫り」のような工具を使用するなど)を採らず、昨年3月21日の記事のようにメチルセルロースで膠を軟化させる方法をはじめとした最適な方法をその都度選択して除去しております。


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