ブックシューについて色々と考える

 チリ高が大きく中身(本文紙)の自重がある本(大型本やコート紙の本など)は、縦置きしているとその自らの重みで前小口側に中身が垂れ下がることにより、ジョイント部分や見返しノド元等に負荷がかかり、最終的にはそれらが切断される可能性があります。このような現象に対して用いられるのが「ブックシュー」といわれるもので、チリ高に合わせたボード(まくら)を底面に敷いた容器に本を(靴を履かせるように)収納することで前述の現象を未然に防ぐものとなります。

 ただ、一般的な保存容器と同様、従来型ブックシューは本をボードで包む形となるため、収蔵スペースが限られている場合にたかが厚さ1ミリ弱のボードが数百、数千冊となると、新たな収蔵スペースを必要とすることとなってしまいます。これまでもご提供しておりました保存容器とブックシューのまくらを組み合わせたものも全く同様です。また、一般的な保存容器に収納して横置きすれば自重問題からは解放されますが、横置きして重ねると出納時の煩雑さが増すこととなります。大型本の場合はなおさらです。

 このようなお客様からのご要望にお応えするために、新たな収蔵スペースを必要としない(=厚みが変わらない)ブックシューを色々と考えております。また、これらのブックシューは外からは見えないため、貴重書の展示などで美しい装丁を見せたい場合にも本にやさしい展示器具としてもご利用いただけます。

 前述のような特定の書籍に対しては、予防的保存処置としてとても有用なブックシューですが、あまり導入が進んでいない(知られていない!)ようです。本記事をご覧になられた方々に少しでもその効果をご認識いただけましたら幸いです。