「えっ!」と思わず声をあげたくなるような取り扱い方が、目の前で繰り広げられることがたまにある。例えば、背革が硬化していたり、ジョイントが脆弱化している本を書見台などの支えもなしに、バタンバタンと開かれると非常にヒヤヒヤする。

私どもが行う作業は、修復作業後にどんな扱い方をしても壊れないように行っている訳では当然ない。以前、貴重書を学生が扱っても壊れないように直してほしいとのご要望があったが、私どもの目指すところは最小限の手当てで最大限の効果(利用・保存の両立とアイデンティティを護る)を生み出すことにある。

また、修復業者自らが利用に耐えうる修復・補強の名のもとに、より厚い和紙、より濃い糊を用いるといったこともあるというが、オリジナル素材に対して違和感(異物感)のある素材が付加されることによって、まさにその部分に負荷がかかって、損傷が生じる危険性を逆に高めてしまうことになりかねない。

本が損傷を受けるのは、なんといっても人によって取り扱われた時が圧倒的に多い。利用者に適切な本の取り扱い方を指導・監督することも所蔵者側の重要な役割の一つであり、このことによって本のアイデンティティや損傷/劣化に関わるような重大な変更が、不要な修復作業によって加えられずに済むことにもなる。

今のこの状態でどのような扱い方をすると、いったい本はどのようになってしまうのか?について想像力を働かせること、本についてもっと知ることが本の取り扱いについては重要なのかと思う。

以下は、Folger Shakespeare Libraryが制作した資料の取り扱い方解説動画です。参考までに。

 

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