弊社で保管している産地、原料、製法の異なる和紙サンプルの中には、茶変色あるいはフォクシング等の明らかな劣化を示しているものもあります。(図1、2)これらに共通しているのは、煮熟と呼ばれる工程(原料の楮をアルカリ水溶液で煮ることによって繊維化する)で強アルカリの苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を使用しているということです。茶変色が生じた和紙のpHを計ってみると4.0~5.0の値を示し(図3)、この和紙が明らかな酸性であることが分かります。フォクシングが全体に発生している和紙は、一緒に重ねて保管していた和紙(機械漉き雁皮紙)にそのフォクシングが移行してしまっています。(図4)

 

貴重書を閲覧する際の栞として和紙が推奨されていることがよくありますが、和紙だったら何でも良いわけではないということは明らかです。上記のような質の悪い和紙を万万が一挿んだままにしておいたら・・・ ゾッとします。

弊社で書籍の修復を行う前の調査段階で気になるページには、間紙として使用することの多いピュアガード(株式会社TTトレーディング、ノンバッファー紙、pH7.0前後)の端切れを短冊状にしたものをストックして使用しています。

ちなみに、天理図書館の特別本の閲覧室には、生漉きの和紙が栞として備え付けられているようです。

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