最近まで修復作業のためにお預かりしていた書籍のウォーターマークが気になったので少し調べてみました。

「Hallines」
フランス北部オードフランス地方にある都市名(アリーヌと読む?)。1473年頃からこの地域では製紙が行われていたようですが、当然この書籍の紙として400年も前のものを使用することはありえません。
さらに調べてみると、この地域の名士であったDambricourt(ダンブリクール)兄弟が1860年頃に製紙工場を再建したとありました。彼らは19世紀の終わりまでに同地域を流れるAa川(アー川)に9つの製紙工場を所有し、フランスで2番目に大きな製紙会社を築き、1919年までは伝統的なぼろ布を原料とした高級紙を生産していました。
「Hallines」のウォーターマークが入った高品質の紙は、Victor Hugo(1802-1885)のお気に入り紙でもありました。その後、1930年代までパルプの製造に従事し、第二次世界大戦中に全ての活動を停止しました。

「HUDELIST」
こちらはあまり情報がありません。Lille(リール)で生まれたAlbert Joseph Hudelist (1774-1855)がHallinesで製紙業を営んでいたということと、死後の1856年に彼の邸宅がDambricourt家に売却されたということくらいです。

一紙の中に「Hallines」、「HUDELIST」の二つのウォーターマークが存在するということは何らかの資本関係があったということなのでしょうか。

 

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