書籍(洋装、和装、図書資料、雑誌)、紙資料(文書、地図、図面、ポスター)、紙作品(版画、デッサン)などの保存修復処置および予防的保存処置

企業アーカイブズへの処置事例② テキスタイル見本帳

【所蔵】公益財団法人 日本服飾文化振興財団(理事長 重松理・株式会社ユナイテッドアローズ名誉会長)

【資料の概要】
18世紀〜19世紀のオールドテキスタイルサンプルやパターンコレクション、洋雑誌、初版本等。世界各地から集めた膨大なコレクションをはじめとする、様々な資料が納められている。知識とアイディアの引き出しとして、ユナイテッドアローズの企画商品開発などに活用されている。
※紹介記事「日経トレンディネット」2012年8月8日

【損傷/劣化状態】
資料は全体的に塵や埃で汚損されており、布の厚みによって隙間のできるページのノド元にも顕著に見られる。表紙はジョイント部分に損傷が見られ、資料によっては表紙が完全に外れている資料もある。また、ジョイント部分の損傷を修理するために布粘着テープの使用も見られる。主に綴じに使用されている針金(ステープル)からは錆が発生し、台紙へも移行している。見返し紙や台紙には、酸性劣化、折れ、破損、欠損などの損傷/劣化が見られるほか、台紙から剥がれかけた布や台紙の応急修理のためにセロハンテープやガムテープが用いられ、新たな劣化要因となっている。

【処置方針】
商品開発時の参考資料として今後も活用され続けていく大変貴重な資料群のため、長期保存のために損傷/劣化を引き起こす恐れのある不安要因を取り除くほか、閲覧時にも不安なく利用できるように製本構造の耐久性向上と補強を行う。

【主な処置内容】
①美術品専用小型クリーナーやケミカルスポンジ、ミュージアムワイパー、スパチュラ、メスなどを用いてドライクリーニングと付着物の除去を行った。
②過去の応急修理で使用された粘着テープ類は、必要に応じて有機溶剤を用いて除去した。
③綴じの針金(ステープル)はすべて取り外して解体し、台紙などへ移行した錆も完全に除去した。
④見返し紙や台紙の破損や欠損、折れには、適宜最適な厚み・色味の和紙を用いて修理/補強を行った。ただし、酸性劣化の進行が著しく修理をしても利用に耐えうる強度が得られない場合は、台紙を中性厚紙へと交換した。
⑤綴じ直しはオリジナルの製本方法に従い、使用する芯紙、支持体、麻紐、麻糸は長期的な保存性と利用時の強度にも考慮したものを選択して使用した。
⑥ページ間には中性紙の間紙(ピュアガード)を挿入し、資料ごとに保存容器を製作して収納した。

【保存修復処置前後の比較】
[資料名]春用プリント 花柄 ペイズリー43
[刊行年]1875年

[資料名]Façonné
[刊行年]1853年

保存修復処置事例

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