【タイトル】モンテーニュ著『Les Essais (随想録)』
【刊行年】1640年
【刊行地】パリ

【製本構造】
 総革装とじつけ製本、背バンド綴じ、見返しは手漉き紙による綴じ見返し。花布は麻糸によって編まれ、小口にはパラ掛けが施されている。

【処置前の状態】
 ジョイント部分で支持体が切断されたおもて表紙、1折目から3折目および、羊皮紙による背貼りがPVAcで再接着されている。うら表紙のジョイント部分の支持体は脆弱化しているが、うら表紙の接続に大きな問題は見られない。表装革は、ジョイント周辺や表紙ボード周縁部で欠損が見られるが、革自体には若干の硬化が見られる以外は健全な状態に近いと言える。天地の花布は糸がほつれて外れかけている。
 おもて見返し遊び紙は欠失し、残るおもて見返しの効き紙には革のタンニンによる茶変色が生じ、所々虫損も見られる。うら見返しノド元には中度の破損が見られ。見返し紙自体にはおもて見返し同様に茶変色、虫損、折れ等が見られる。本文紙には軽度の茶変色、周縁部の脆弱化、破損、欠損、折れ、染み等が見られる。また、ページ間に欠落した本文紙の一部が挿入されている。

【処置方針】
 現状では閲覧(取り扱い)に難があるため、その不安を解消する。その際、酸性物質であるPVAcの完全な除去、長期的な保存と本資料のアイデンティティ(たどってきた歴史)を考慮に入れた処置方法・材料を選択する。

【主な処置内容】
①PVAcにて接着されているおもて表紙~3折目までを取り外し、残留しているPVAcを完全に取り除いた。
②背固め膠の除去
③背固め用に和紙で背貼りを行い、同時に支持体の補強も和紙で行った。
④本文紙の欠落箇所を貼り戻し、欠損部分の繕いを行った。
⑤麻糸にてオリジナル花布の再固定を行った。

⑥接続補強用ヒンジを貼付した。
⑦新規背革の染色、革漉き後に背に貼り込んだ。
 ※和紙などの代替素材による修復も可能ではあったが、強度的な不安はもちろん、それ以上に見た目に大きな違和感を与える(単なるモノ・資料で
 はないことを強く意識する必要性)と判断して革による修復を行った。
⑧元背を貼り戻した。
⑨タトウ式保存容器を中性(弱アルカリ性)ボードで製作して収納した。

【処置後の状態】