【所蔵】早稲田大学戸山図書館
【タイトル】Dictionnaire de Trévoux 1-8(全8冊)
【刊行年】1771年
【刊行地】パリ

【処置前の状態】
①中身が自重によりずり落ち、天地付近のジョイントおよび表装革が切断もしくは脆弱化している。
②背革が硬化し、亀裂なども多数生じている。また、天地のヘッドキャップと花布が欠失している。
③マーブル紙の見返しノド元の破損。

【処置方針】
 負荷がかかって弱っているジョイント部分の補強と背の柔軟性を確保した処置を行った上で、背革を新調して取り外した元背を貼り戻すことで、外観にほとんど変更を加えることなく利用と保存の両立を図る。

【主な処置内容】
①革の脆弱化している部分にHPCと保革油を塗布
②背革を表打ちで保護してから慎重に取り外し、背固めを除去
③背固め用和紙を貼付
④花布の編み直し(折丁間に残る色糸の断片より推測)
⑤表紙ボードと中身の再接続
⑥背に芯紙(中性厚紙)を貼付
⑦新規背表紙の仔牛革を染色し、革漉きを行って貼り込んだ。
⑧元背の貼り戻し
⑨見返しノド元の破れを染色した和紙にて修理
⑩将来にわたる同様の損傷を防ぐため、チリ分の支持台(マクラ)を入れたブックシューに収納

【処置後の状態】