【所蔵】学習院大学文学部日本語日本文学科

【資料の概要】
①『漢書』 50冊
刷毛目の入った渋引き表紙。康熙綴じ。外題は直書き。
※「櫻山文庫」の蔵書印あり。国文学研究資料館の蔵書印データベースによると、蔵書印主は鹿島則文。1901(明治34)年10月10日没、年63。国学者。代々鹿島の大宮司で、伊勢神宮大宮司にも任ぜられる。神宮皇學館の創立者。「古事類苑」完成にも尽力。桜山文庫蔵書 3万冊は散逸もしたが、残余 8千冊が近年昭和女子大学に収蔵された。(「近代蔵書印譜」による)

②『後漢書』 32冊
藍色表紙、四つ目袋綴じ。紙縒りで綴じた各巻を合冊している。刷り題簽。
※「藝国学館蔵書」の蔵書印あり。同様の蔵書印を持つ資料が国立国会図書館で『芸備孝義伝』、『新刊官板批評正百將傳』の2点を確認することができる。

【損傷/劣化状態】
 どちらの資料にも表紙、見返し、本文紙に多くの虫損が見られ、不安なく資料を取扱うことが非常に困難な状態となっている。本文紙には裏面から四角く適当に切られた和紙や手切りされた和紙で過去に修理が施されている。

【処置方針】
 綴じの解体、旧修理の完全な除去後に虫損部分の裏面からの手繕いを基本とするが、虫損が甚だしく虫損部分のみの繕いではシート(丁)としての一体感が保てない場合には裏打ちも行う。ただし、紙の表情や手触りに著しい変化をもたらすことになる仮張りは行わない。紙縒りによる下綴じ、オリジナル通りの運針で綴じ直しを行う。

【修復処置】
①『漢書』
・ドライクリーニング
・解体、旧修理除去
・本文紙、見返しの繕い
・表紙の繕い
・綴じ直し

修復前

修復後

②『後漢書』
・ドライクリーニング
・解体、旧修理除去
・本文紙、見返しの繕い
・表紙の繕い
・綴じ直し

修復前

修復後