【所蔵】学習院大学文学部日本語日本文学科

【資料の概要】
 室町時代初期の書写本であり、装訂は粘葉装である。各丁はノド元約7mm幅で接着されている。本文紙は、高知県立紙産業技術センターの繊維分析の結果、楮繊維から成ることが判明した。また、「髙山寺」の蔵書印および罫線引き時の目印と考えられる穴が認められる。なお、ノド元には旧修理による補修紙が部分的に残存している。

【損傷/劣化状態】
 本文紙には、欠損、著しい虫損、破損、汚損(特に巻頭および巻末付近)、染み、水濡れによる染み、シワ、折れ、めくれ、色移り(蔵書印の転写等)、朱色顔料の付着による染みが認められる。また、文字の退色や摩耗が進行しており、かすれて判読しにくい箇所や、ほとんど判読不能となっている箇所も散見される。

【修復処置】
①ドライクリーニング
②文字や線の滲むおそれのある箇所にスポットテストを実施して水に対する耐性を確認
③解体作業
※綴じ側の剥離作業は接着が強く、虫損も著しいため、慎重に作業を行った。剥離後も粘着が強く残る箇所も見られた。また、同時に除去した旧補紙も同様に強く接着されていた。
④リーフキャスティングにより本文紙の修復。脆弱化している部分には薄口楮紙にて補強。
⑤本文紙は各辺が揃っておらず歪んでおり、綴じ代にあたる背(折り目)で合わせるとズレ幅が大きいため、周囲に最小限の余白を残して断裁。
⑥綴じ直し(粘葉装) ※ノド元7mmで接着して再製本。

【処置後の状態】