経年変化を読むー革装本修復における染色作業

 革装本の修復では、「同じシリーズだから同じ色の革を使えばよい」というわけではありません。

 長い年月の中で、革は保管環境や取り扱い等々の影響を受け、一冊ごとに異なる色へと変化していきます。たとえ同じ時期に製本され、同じ装丁であっても、現在の色味は一冊ずつ異なるのです。

 そのため修復では、新たに補う革をそのまま使用することはなく、オリジナルの革と違和感がないように一冊ごとに染色を行い、色味を少しずつ調整しています。

 わずかな赤味や黄味、明るさ、くすみ具合等の経年変化を見極めながら、「どこまで合わせるか」を慎重に判断する作業です。この細かな積み重ねが、修復後の印象を大きく左右します。

革の染色