【タイトル】Missale Romanum(ローマ教会ミサ典書)
【刊行年】1651年
【刊行地】Antuerpianam(アントワープ)

【資料の状態】
 総革装とじつけ製本。表装革はおもて表紙側のジョイント部分で完全に切断され、背革はうら表紙側のジョイント部分(一部)のみでつながっている状態となっている。革には全体的に硬化が見られ、それは背革において特に顕著となり、無数の亀裂や多くの欠損が生じている。支持体や綴じ糸は脆弱化し、綴じ全体にも緩みが見られるが、現時点で解体・綴じ直しが必要とされるほどではない。天地の花布は背から外れ、ほつれも見られる。表裏の見返しノド元には破損があり、見返し紙にも軽度の茶変色や汚損、欠損(革の酸による腐食)等も生じている。本文紙の状態は概ね良好だが、折れや染みのほか、革製ピップ周辺に虫損が見られる。

【処置方針】
 硬化が著しい背革は、中身に貼り戻してしまうと開閉時の背の動きに対応できずに欠落・破損の可能性が高いため、現状のままとする。花布は再び貼り戻せる状態に修復した後に貼付する。前小口の留め具も革への保存手当てのみを行い、修復処置は行わずに現状のままとする。

【処置前の状態】

【主な処置内容】
①刷毛やワイピングクロス、スポンジでドライクリーニング
②革の保存手当て(再鞣し、HPC、保革油)
③ヒンジをおもて表紙側から外し、背固めを軽く除去

④背固め用背貼り
⑤取り外した花布の補強
→二重になっている花布の固定用布の間に綿布を挿入して補強し、ほつれた糸は綿布に染麻糸で固定した。
 ※固定用布は花布を編む時に一緒に芯に巻かれて編まれている。
⑥本文紙・見返し紙の欠損、虫損、破損の修復、折れ伸ばし
⑦ヒンジの貼り戻し
⑧花布の貼り戻し
⑨めくれた見返しの貼り戻し
⑩ジャケットの作成(AFプロテクトH)

【処置後の状態】