パーチメント(羊皮紙)を鞣す②

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1)タンニン酸
手順A>
①タンニン酸液を作る。
タンニン酸 20g、水 200cc
これを50ccにまで煮詰める。
②7cm角のパーチメントを漬ける。
③1日後…ワインと比べてしみこみが悪いが、柔らかくなった。
④2日後…まだ完全に浸透していない。
⑤3日後…手順Bの②の薄い液に漬け直す。
⑥6日後…手順Bの④と同様に液を濃くする。
⑦14日後…白っぽくなったが、柔らかさなどは変化なし。
⑧乾燥後…板紙のように硬くなり、手順Bの鞣されたような感じはなく、表面はツルツルのままである。

手順Aの液はべたつき感があり、濃度が濃すぎると思われたので、薄い液に浸けてみることにした。
<手順B>
①パーチメントを水で湿らし、タンニン酸液が中まで浸透しやすいようにする。(柔らかくブヨブヨになる)
②手順Aの液を希釈した没食子酸液に浸ける。(※写真でAとBの色の差が分かる)
③1日後…パーチメントの厚みが増して硬くなる。表面もザラザラしている。
④2日後…没食子酸液を少し濃くする。
⑤5日後…さらに没食子酸液を濃くする。硬さや見た目などは変化なし。
⑥13日後…パーチメントが柔らかくなり、白っぽくなった。(ふやけたような感じ)
⑦乾燥後…硬い板紙のようだが、パーチメントのときより厚みが増し、表面が鞣し革の肉面のような感じ。
⑧ステイキング…通常の鞣革工程で加える油脂分を入れていないため、パサパサしているが、柔らかくなり、鞣し革のような質感になった。


<考察>
当初は、適当なタンニン酸液の濃度が分からず、ワインでタンニンが少なすぎたのを考慮して、とにかく濃い液を作った。
手順Aは、タンニン酸液を原液のまま使用したため、濃度が高すぎてパーチメントの中に染み込まなかったのかもしれない。そのため、鞣されることなく、パーチメントのまま変化しなかったようである。
手順Bは、パーチメントを水で湿らし、さらに薄いタンニン酸液から徐々に濃度を上げていったため、うまく皮の中にタンニン酸液が浸透し、「皮」が鞣されて「革」になったと思われる。