1)通史
(1)アウストラロピテクス・ハビリス・・・約200万年前。他の肉食動物と異なり、特殊な歯、爪、外皮を持たないが、道具(削器)で皮を薄く漉くことができ、得られた皮は幅広い目的に用いられた。

(2)ホモ・エレクトス(ジャワ原人・北京原人)・・・約100万年前。火の使用とともに動物肉の調理法を会得し、また屠畜と剥皮の道具を発展させた。一部の者たちの住居は垂直に立てたポールに皮を広げて張ったテントのようなもので、内部では中央の暖炉で暖められ、これが皮の保存効果(引っ張り乾燥)を結果的にもたらした。さらに重要なことは煙にマイルドな鞣し効果があることを発見したことである。また、特殊な石器で不要な脂肪と肉の削ぎ落としを行い、柔軟で軟らかい毛皮を得ることが出来るようになった。

(3)ネアンデルタール・・・約10万年前(氷河期)。皮製のテントに住み、温かい皮製の衣服を身に着けることでツンドラ地帯にまで活動範囲を広げて氷河期でも繁栄した。シカ、ウマ、クマ、サイやマンモスなどを捕獲し、皮革作業用に作られた前代よりも洗練された石器、骨・角製道具などを使用。特に足の骨から作った道具は、肉の削ぎ落としのために凹面に仕上げてあった。これらの石・骨道具はネイティブアメリカンが19世紀末頃まで同様の方法で使用していた。
①最初に毛皮を身につけたのは、50万年前の氷河期かネアンデルタール人(20万年前~2万数千年前)と推測される。
※動物素材はそのままで身体を覆うことができる。
肉を掻き落とす、叩く、揉む、煙で燻すことで鞣し作用が生まれ、皮を柔らかく保つことを自然と学ぶ。
B.C.8千年頃には、皮を煙で燻して防腐加工を施し、獣脂(ラードも)を塗布して皮革を使用。
→衣服の着用で外気変化に耐えられるようになった。
例)アルプスで発見されたB.C.5千年頃の人類(「アイスマン」)は非常に長持ちする革服を着用。
②着衣として皮革が果たした役割
ⅰ.保温性・・・身体と外気との間に空気の層をつくることで、外気温に関係なく一定の温湿度を保つことができた。最初は毛皮をそのまま身に着けていた。結果として、高地や寒冷地への移住が可能になる。
ⅱ.呪術性・・・呪術師(シャーマン)は毛皮を被り、角をつけて魔除けや豊穣を祈願して踊った。近代的な狩猟採集社会研究に基づいた学説では、洞窟壁画はクロマニョン人のシャーマンによって制作されたとされる。これはシャーマンが洞窟の暗黒の中で隠遁し、トランス状態に入り彼らの想像力あるいは洞窟自体から出る絵の概念で壁画を描いたのだという。
→人々が生活の糧を得るための祈りに毛皮が使われたことが、後々権力の象徴としての毛皮や皮革着用へとつながった?
ⅲ.狩猟道具・・・槍や簡単な石器だけの狩りの時代に、動物に気づかれないように接近するために毛皮を被ったと考えられる。
③道具
ⅰ.尖頭器・・・狩りに使用(図1-1)
ⅱ.削器・・・肉を削ぎ落とす(図1-2)
ⅲ.掻器・・・皮を剥いだり柔らかくするため(図1-3)
ⅳ.骨針・・・先端の刺突部が尖り、もう一端に穿孔のある有効タイプと無孔タイプや直線タイプ(鹿の中手・中足骨を利用)と湾曲タイプ(肋骨を利用)などがある。湾曲するタイプは有効が多い。(図1-4)
④人類は毛皮を含めた皮革を求めて、地球規模での交易を繰り広げた。王の権力の象徴として、富裕階級のステイタスシンボルとして、さらにファッションとしても重要な位置を占めていた。

 

 

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