(4)クロマニョン人(ホモサピエンス)・・・4万年前~3万5千年前の欧州。削ぐ・磨くための石・骨器やナイフ、キリなどの繊細な皮革作業用道具を多数作る。なかでも2万年前までには針・キリ・ナイフは骨や火打石(すい石:石英の一種でとても硬い)から作られ、これによって軟らかく柔軟性のある革の製造を完璧にマスターしたと推測できる。また、クロマニョン人が人類最初に皮革鞣し術を行い、そのレシピも残っている。
★衣服に革を使用した証拠として残った絵(壁画など)から分かること
ⅰ.3万5千年前、男は革の腰巻、女は革のスカートを着用。その後革のズボンやドレスを着用したと推測される。
ⅱ.より寒い北方では現代のイヌイットのようなアノラック(上着)やズボンが毛皮で作られた。
ⅲ.革のバッグ、ベルト、ロープの使用を示し、革紐は木・骨・角の柄に石の刃や斧の頭を結びつけるのに使用。

都市部への移住が多くなると、皮革需要(軍事目的)が増加した。特に初期シュメールやエジプトの鞣し術や皮革加工技術は5千年前に近東地域を通して栄えた。この交易は古代ギリシャ時代まで拡大し、ピラエウス(現ピレアス、アテネから10キロ)で鞣し業者は奴隷120人を使い革製盾製造を行った記録が残る。しかし、皮革製造術の発展は都市部に限定されていた。

現存する高品質皮革は新石器、青銅器、鉄器時代のものが中央アジアの墓やオーストリア、デンマークなどでも発見されている。同様にローマ帝国でも軍事用に革の重要性が認識され、ローマ軍は独自の鞣し場と加工工場を持っていた。

(5)B.C.3千年頃、ある種の木の樹皮が生皮を「革」として利用できるタンニンを含むことを発見。
→植物タンニンで鞣しや染色を行うようになった。
例)ネイティブアメリカンは、皮を数週間灰汁(アメリカツガ、オーク)に浸漬し、肉片と毛を除去していた。

(6)古代ギリシャ時代(B.C.2千年頃~古代ローマ支配前=B.C.140年頃)、プロの皮鞣し工が存在していた。ここでは針葉樹とハンノキの樹皮、ザクロの皮、ウルシノキの葉、クルミ、ドングリの萼、ミモザの樹皮などからタンニンを抽出。また、明礬鞣しにも詳しく、魚油を用いた鞣し(タラ、ニシン、サメ)に関する知識も持っていた。
※ホメロス(B.C8世紀後半)は、ギリシャ人による牛皮・ヤギ・イタチの皮の使用について言及している。
※基本的な製革技術の発展は、古代ギリシャ・ローマ時代と19世紀産業革命の間に行われた。

(7)中世
※アラブ人の革加工技術が群を抜いていた。
例)ムーア人(北西アフリカのイスラム教徒、ベルベル人)は、ヤギ革(モロッコ革)の製造技能を見出した。
※英国での革取引は、靴職人・帯製造者・手袋製造者・馬具製造者などのギルドによって管理されていた。
※刀の鞘、箱の表装材、水筒(胃袋や膀胱を利用。ヒツジの胃袋に乳を入れたらチーズが偶然出来た)などほぼ全ての入れ物は革製。
※馬が輸送の主要手段であったため、馬具製作は革の重要用途であった。

(8)1760年・・・英国のマックス・ブリッジが鞣剤として植物タンニン固形エキスを使用する方法を考案。
→以降、19世紀後半までの200年以上の間皮革製法はほとんど変わらない。

(9)1858年・・・クナップ(独)が鉄・アルミニウム・クロムなどによる鞣し方法を発見。

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