(2)「空押し技法」・・・金箔を押していない細工と定義
※温めた金属のスタンプを少し湿らせた革に押し、圧力をかける。
※12世紀に最盛期を迎え、その後は切り込み式の革細工が主流となる。
※使用されるスタンプは中世の金貨と密接な関係があるのは明白で、革工芸のために貨幣職人によって作られたと思われる。
※13世紀の本のケースは、同時代の典型的な様式と形を持っており、スタンプの組み合わせが強くしっかりとついている。

(3)「切り込み革細工」
①少し湿らせた革に下描きをして、三角刀で切り込みを入れる。
②熱を加えて切り口が閉まらないようにする。
※初期は切り込みと打印だけで、平面的な作業が多い。後に打ち出し加工で凹凸がつけられ、さらに彩色や金箔押しが施される。※装飾文様と背景のコントラストを引き出すために地が打印されていることが多い。
例)小箱、容器、本などのケース、剣やナイフの鞘
→16世紀以後は、ケース職人が本の装丁師に凌駕され、さらに銃の発達により剣の鞘の需要がなくなる17世紀以降は、革職人の仕事がカバンや袋物などのようなモード的なものに変化。

【切り込み技法の発展】
○箱貼り
(例)ミンネの箱(愛の小箱)・・・中世ヨーロッパで恋愛詩人(ミンネゼンガー)によって唱われたミンネの情景や歌詞を刻んだ小箱。
※木製や象牙のほかに革製の箱がある。スタンプによる打印、切り込み技法と打ち出し加工をもったレリーフが多い。
○15世紀(ルネッサンス期)のイタリアで飛躍的に開花して芸術的発展
→革に切り込みを入れ、打ち出し加工・打印・彩色などを行う。
※13世紀終わりから1550年頃まで盛んに行われ、その後金箔押しが欧州で主流となるも、19世紀に再登場する。
※中心地はミラノ、金箔押しが入る16世紀終わりにはヴェネツィアへと中心が移る。
※本の装丁には、14世紀初め頃から用いられるようになる。
→厚さ1.2~1.4ミリの植物タンニン鞣しの牛革や仔牛革が使用された。

(4)「金箔押し技法」・・・15世紀末に本の装飾のためにオリエントからヨーロッパへともたらされる。
①空押しする。
②押された模様に酢と卵白の溶液を下塗りする。
③金箔を置き、温めたスタンプ(真鍮製)を押しつける。
→製本家が革装飾における指導的な役割を果たすようになる。
※15世紀までは容器職人の切り込み技法が装丁技法に影響を与えていたが、16世紀半ばには金箔押し技法がケースなどの装飾を決めるようになっていった。
※16世紀初め、牛・仔牛革に代わり赤いイスラム風のヤギ革(モロッコ革)が使われるようになる。ボードは木から厚紙へと変化。
※イタリアの金箔押しは、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアに集中

~パーチメント・ヴェラム~
筆写に使われた皮紙は仔牛、ヤギ、ヒツジなどの動物の真皮から作られ、BC3世紀のペルガモンを起源とする。
※初期は長方形に切った皮紙を継ぎ合わせて長い巻物にし、必要に応じて継ぎ足し、円筒形の文書箱に入れて保存。
※2世紀頃には、皮紙を四角に裁断して綴じて冊子本をつくるようになった。
→皮紙の使用はキリスト教と共にヨーロッパ全体に広まった。
※生まれたばかりの仔牛や腹子を使った牛皮紙はヴェラムと呼ばれ、最高級品とされた。(厚さ0.1~0.5ミリほど)

~影絵人形~
革や羊皮紙を素材とした形や姿の薄片を、後部から照明をあてたスクリーンに映写する。
→劇場や宗教的儀式で行われた。タイ、ジャワ、インド、中国、エジプト、トルコなど東洋起源。
①タイ・・・「ナン」は水牛の皮を加工して制作。
②エジプト・・・12世紀からあり、16世紀には下火となる。
③インドネシア・・・水牛の皮
④トルコ・・・ラクダの皮
⑤インド・・・BC200年にあった?ヤギ、水牛、シカの皮
⑥中国・・・素材の皮は時代・地方によって異なる。ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマなど。

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