本(背バンド綴じ)の背に革を貼り込む
革漉き(10月19日の記事)を行った革を背バンド(背から突き出た背綴じ紐のふくらみ)綴じした本の背に貼り込みます。その際、突き出た背綴じ紐(=支持体)に革をきっちりと固着させる方法(本の年代にもよりますが)として、私どもでは主に次の2種類の方法を採用しています。
①背バンドペンチを利用する方法。支持体脇のラインがとてもきれいに出る方法ですが、革を傷めてしまう危険性もあります。そのほか、きっちりと革が接着するまでしばらくやり続ける必要があります。
②細い麻紐を下の写真のように引っ掛ける方法。(イタリア語では「Staffilatura」と呼ぶ。日本語では不明。参考文献に載せたミドルトン著作本の12章Rebackingにも同様の方法が登場します。)一度、麻紐を引っ掛けてしまえば、そのまま放っておけるため、すぐに他の作業に取り掛かることができます。ただ、麻紐の縒りの具合によって、乾燥後に縒りが革に写ってしまう可能性もあるので、麻紐は強度+縒りの具合を見極めて選択する必要があります。ただ、縒りが写ったとしても湿りを与えてヘラで擦るとほとんど消すことができます。
参考文献
『西洋製本図鑑』ジュゼップ・カンブラス著 雄松堂出版
『The Restoration of Leather Bindings』Bernard C. Middleton著