Capillary Mattingを試す

 アメリカで主に紙製文化財修復の関連材料や道具等を取扱っているUniversity Products, Inc.から最近発売された「Capillary Matting」を購入してみました。商品ラベルはイギリスのPreservation Equipment Ltd(pel)ですので(開発もpelということ?)、もちろんこちらのサイトからも購入することは可能です。pelはクレジットカードで買えないようでしたので除外しました。
University Products, Inc. はこちら
Preservation Equipment Ltd はこちら

 この素材は直訳すると毛細管マットということになるのでしょうが、商品紹介ホームページには、「紙や羊皮紙等の加湿と洗浄のために保存修復家が用いる。スプレー、フラットニング、乾燥またはリーフキャスティング時のサポートとしての役割を持ち、安全に水分を浸透させる(間接的で均一な加湿)ための保水素材として使用する。」というような事が書かれています。

 具体的な素材の情報は下記の通りです。

・ポリエステル100%不織布
・360g/㎡
・厚さ3.5mm
・1㎡あたり4.5Lの水分を保持
・75cm×10m/巻

 試しに酸性劣化した洋紙をブロッティング洗浄してみました。マットを300mm×450mmにカットして軽く指で押すと水が染み出す程度(水分量は約150ml)に水分を与えました。このマットに酸性紙(本の見返し)を置いて1時間弱放置しておくと、紙から溶出した汚れや酸性物質がマットに付着していました。通常の吸取紙を使用するブロッティングの場合にはここで吸取紙はお役御免となりますが、このマットは水洗いすると付着した汚れ等が流れ落ちるので繰り返しの利用も可能です。   

 ブロッティング以外にも商品説明にあるように防水透湿性素材(ゴアテックス等)と組み合わせることで加湿することやフラットニング時にも使えると思います。ただ、素材としては想像していたよりも柔らかい(フカフカしている)ため、しっかり目にフラットニングしたい場合にはどうなんだろう?と思うところもあります。従って、硬めのフェルトのような感じで厚さが1mm程度のものがあればとは思います。